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トキナーの雪辱 AT-X24-70 PRO FX そしてアンジェニューの夢を見るか


【CP+】ケンコー・トキナー、大口径標準ズームレンズ「24-70mm F2.8」を参考出品

トキナーは結構好きなレンズだ、サードパーティレンズメーカーで言うとタムロンやシグマより好きかな。そのトキナーからようやくフルサイズを意識したレンズが発表された。上記の24-70mm F2.8なのだがそう「ようやく」という感じだ。(参考出品ではあるが)

トキナーと言えば最近はAPS用のレンズしかなくてちょっとどうしたんだろうと思ってた。


何故トキナーのレンズが好きかというとコストパフォーマンスが抜群にいいレンズが多い。とはいえ最近のトキナーは特筆される特徴がある訳ではないがそんなものデジタル時代の今はどうにでもなる。それに作りがいい。ちょっと重いが金属躯体のレンズが多くさらにインナーフォーカスとインナーズームのレンズが多い。インナーフォーカスとインナーズームでおまけにF2.8通しのレンズとあらば純正なら確実にレンズ一本で10万以上は確実。ニコンの銘玉NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDなど自分が買った時は25万で買ったものだ(今でも20万はする)

それでもまあ高感度特性がいい昨今のカメラであまりF2.8にこだわる意味も無いがやはりズーム全域でFと全長が変わらないのは使い勝手がいい。トキナーらしい値段(笑)で売り出してほしいものだ。



閑話休題。ちょっと昔話になるがかつてトキナーにAT-X 280 PRO AF28-80mm F2.8というレンズがあった。発売当時(2000年)に定価で9万ほど、互換レンズメーカーとしては最高級に入る部類だ。作りは高級感ありマニュアルとAFがレンズ側クラッチでワンタッチで切り替えられることやインナーズーム+インナーフォーカスで実に使いよい。

ところがこのレンズ全く売れなかった。

理由はその写りにあった。このレンズ、メーカーのうたい文句に

「新たな光学系に、高性能非球面レンズ2枚を採用。 、SDガラスFK01を配置。 これらの工夫により各収差の徹底除去と全焦点距離にてコントラストの高い最高の描写性能を発揮。」

とあったのだが、この説明だけ見るととてつもなくシャープな像を結ぶレンズのように見える。しかし実際はとんでもなく個性的な癖玉で開放だとまるでピントがきてないかのようなソフトな描写をする。

ソフト系のレンズを見たことが無い御仁は故障しているんじゃないかと思えるほどのソフトっぷりで世間の評判は地に落ちることになる。

しかし実際には高度な光学系により意図的にソフトに振っているのであってそのことを全くアナウンスしていなかったトキナーの戦略ミスであろう。その証拠に安価なレンズにより起こりうるソフトフォーカスと違ってピントの芯はちゃんとある、繊細な芯を残しながら回りにフレアを残すというソフトレンズ特有の特徴が見られる。

実はこの描写、Photoshopやソフトフィルターでは得難い表現で、フィルターやPhotoshopを使ってソフトにすると一様にソフトになってしまい芯が残らない。

そんないきさつで世間に受け入れられることが無かったこのレンズ、今やヤフオクなどで1万円台で売っていることも珍しくない。

ところがこれとほぼ同じレンズが30万円で売られていたことがある。

このブログの読者ならご存知だと思うがフランスのアンジェニュー社から出されていたレンズだ。ご存じない方のために簡単に説明するとピエール・アンジェニューが1935年にフランスで創設した、名門レンズメーカーである。ライカをはじめ、エキザクタやアルパなど当時のトップ・ブランドを占めるカメラに装着する各種交換レンズを製造していたが、その後シネ用のレンズに主力を移しシネ用レンズとしてのほうが知られている。

そのアンジェニューが最後のカメラ用レンズとして発売したのがAngenieux AF28-70mm F2.6と言うレンズなのだがどうもこのレンズ製造をトキナーがおこなっていたらしい。アンジェニューといえば「ゴミを宝石に変える」といわれたソフトな描写で有名だ。そしてそれとほぼ同じ光学系で発売されたのが前述のAT-X 280といわれている。


数奇な運命をたどったAT-X 280 PROだが設計が古いため残念ながら現在のデジタルカメラに装着すれば絞り込んでも明度差のある対象に向けると盛大にパープルフリンジが出る。
それさえなければ開放でソフトな描写とF8まで絞ればカリッとした描写の二通りが楽しめる実に楽しい個性的なレンズなのだ、それに明るいところで使わなければそれほどパープルフリンジもでないし、ちょっと暗めの室内で開放気味のセッティングで使うと絵画のような雰囲気が出る。この辺もフランスのエスプリが感じられるようでなかなか楽しい。


今のトキナーにそういう個性を求めるかというと否だが(笑)たまにはこういう癖玉も悪くない。

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「新たな光学系に、高性能非球面レンズ2枚を採用。 、SDガラスFK01を配置。 これらの工夫により各収差の徹底除去と全焦点距離にてコントラストの高い最高の描写性能を発揮。」 とあったのだが、この説明だけ見るととてつもなくシャープな像を結ぶレンズのように見える
トキナーの雪辱 AT-X24-70 PRO FX そしてアンジェニューの夢を見るか | ソラリ | 伊藤浩一のWindows Phone応援団(旧W-ZERO3応援団) | 2015/09/26 07:49